CFOのための海外子会社管理改革:具体的アクションプラン

CFOのための海外子会社管理改革:具体的アクションプラン
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はじめに

2025年現在、グローバル経営の複雑性が増す中、海外子会社の管理は多くのCFOにとって喫緊の課題となっています。本コラムでは、ガバナンス・フレームワークの要素に基づき、海外子会社の管理レベル向上に向けた具体的なアクションプランを提案します。

海外子会社管理の現状と課題

海外子会社の「実態が見えない」という状況は、複数の要因が複雑に絡み合って生じているため、特効薬は存在しません。各部門・レイヤーがそれぞれの役割を認識し、ガバナンス・フレームワークの要素ごとに適切な仕組みを構築していくことが重要です。

しかし、多くの企業が課題を認識しながらも、日々の業務に追われ、部門間の協力関係構築の難しさを理由に、具体的な改善策を講じることができていないのが現状です。この状況を打破するためには、各部署が抱える課題を適切に特定し、全社的なプロジェクトとして推進していくことが不可欠です。

経営課題と解決策:具体的なアクションプラン

海外子会社の管理レベルを向上させるためには、親会社と子会社が同一のデータに基づき、共通認識を持つことが重要です。そのためには、業務プロセスとシステムを組み合わせ、効果的なソリューションを構築する必要があります。

課題解決の成功の鍵は、すべての課題を一度に解決しようとしないことです。まずは優先順位の高い課題から一つずつ取り組み、成功体験を積み重ねることが重要です。個別の課題解決に取り組む中で、関連部署の課題も明らかになり、全社的なプロジェクトへと発展していくでしょう。

外部リソースの戦略的活用

課題解決の必要性を感じながらも、日々の業務に忙殺され、具体的なアクションを起こせない担当者は少なくありません。また、海外子会社の管理は、現地スタッフの知識や能力に依存する部分も大きく、人材不足に悩む企業も多いでしょう。

このような場合には、外部リソースの活用を検討することも有効です。第三者の専門家が関与することで、現状の可視化、課題の特定、ルールの策定、導入までを客観的に進めることができます。
また、プロジェクトの進捗状況を定期的にマネジメントに報告することで、全社的な取り組みとして認識されやすくなります。さらに、各種成果物をナレッジとして蓄積することで、今後の海外子会社展開にも活用できます。

外部コンサルタントの活用メリット

  • 客観的な視点: 社内では気づきにくい課題の発見
  • 専門知識の導入: 最新のグローバル経営手法の適用
  • プロジェクト推進力: 全社的な取り組みへの昇華を促進

さいごに

市場環境と競争環境が激化の一途をたどる現代において、効果的かつ効率的なグローバル経営は、企業の持続的な成長に不可欠です。本コラムでご紹介した具体的なアクションプランを参考に、各企業の現状と課題に合わせた改革を推進していくことが重要です。海外子会社との距離は、時間経過とともに心理的に乖離し、状況が悪化してからでは改善が困難になる傾向があります。将来を見据え、現状を打破するために、今こそ行動を起こすべき時です。
本コラムが、海外子会社管理の課題に直面されている皆様の、課題解決への一助となれば幸いです。共に、グローバル経営の新たな地平を切り拓きましょう。

この記事を書いた人

2004年有限責任監査法人トーマツ入社。シニアマネジャーとして、多くのグローバル企業の監査責任者を担当するとともに、IFRS導入、オペレーション改善等アドバイザリー業務の現場責任者を歴任。2022年当社入社。経理業務の高度化に向けた標準化支援や、ERPシステム導入支援、IPO支援、BPOサービスといった案件やROICや海外子会社管理のセミナー講師等を担当。2024年よりAccounting Tech 1部の部長職。

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